手軽に加入でき、いざという時に頼りになる葬儀保険ですが、そのメリットの裏側には、加入前に必ず理解しておくべき、いくつかのデメリットや注意点が存在します。これらの点を正しく認識せずに加入してしまうと、後で「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。まず、最も重要な注意点が、葬儀保険は、原則として「掛け捨て」の保険である、ということです。これは、支払った保険料が積み立てられていく貯蓄型の保険とは異なり、解約した際に戻ってくる「解約返戻金」や、満期を迎えた際にもらえる「満期保険金」が、全くないか、あってもごくわずかである、ということを意味します。あくまで、万が一の際の「保障」に特化した商品であり、貯蓄の代わりにはなりません。この「掛け捨て」という性質から派生するのが、「元本割れ」のリスクです。葬儀保険は、年齢が上がるにつれて保険料も上昇していくため、長期間にわたって保険料を支払い続けると、最終的に支払った保険料の総額が、受け取れる保険金額を上回ってしまう可能性があるのです。例えば、保険金額100万円のプランに加入し、総額で120万円の保険料を支払った、というケースも起こり得ます。この点を「損だ」と感じる方には、葬儀保険は向いていないかもしれません。次に、保険金額に「上限がある」という点もデメリットと言えます。葬儀保険は少額短期保険の一種であるため、保険金額は最高でも300万円程度が一般的です。平均的な葬儀費用は賄えても、お墓の購入費用や、その後の法要の費用など、葬儀後に必要となる全ての費用をカバーするのは難しい場合があります。さらに、加入直後の保障についても注意が必要です。多くの葬儀保険には、「免責期間」や「削減期間」が設けられています。例えば、「加入から90日以内に亡くなった場合は、保険金は支払われません(既払込保険料相当額のみ返還)」といった免責期間や、「加入から1年以内に亡くなった場合は、保険金が50%に減額されます」といった削減期間の定めがある商品もあります。加入を検討する際は、これらのデメリットや注意点を全て理解し、それでもなお、月々の手頃な保険料で「もしもの時の安心」を得たい、と割り切れるかどうかが、判断の大きな分かれ目となるでしょう。
掛け捨ては損?加入前に知るべき葬儀保険の注意点