会葬御礼とは、葬儀や告別式に参列してくださった方々に対して、弔問のお礼としてお渡しする品物や金品のことです。故人のために遠方から足を運んでくださったり、お忙しい中時間を作って弔問してくださったりしたことへの感謝の気持ちを示す大切な習慣と言えます。古くから続く日本の葬儀における重要な儀式の一つであり、遺族の丁寧な心遣いが表れる場面でもあります。単なるお礼の品というだけでなく、故人と遺族への敬意を持って接してくださった方々への、誠実な気持ちを伝える機会なのです。会葬御礼を渡す対象は、基本的に葬儀や告別式に参列されたすべての方々です。ただし、通夜のみに参列された方にはお渡ししない場合もあります。これは地域の習慣やご家庭の考え方によって異なりますので、事前に確認しておくと安心です。また、親族内で香典を辞退した場合や、家族葬で近親者のみで行った場合など、葬儀の形式によって会葬御礼の有無や渡す範囲は変わってきます。近年増えている家族葬では、会葬御礼を用意しないことも珍しくありませんが、参列者への感謝の気持ちを伝える手段として、心を込めたメッセージカードなどを添えることもあります。会葬御礼を渡すタイミングは、一般的に葬儀や告別式の当日、参列者がお帰りの際にお渡しします。受付で香典を受け取る際に一緒にお渡しすることもあれば、お開きの後に出口でお渡しすることもあります。渡す際には、丁寧な挨拶と共に「本日はお忙しい中、誠にありがとうございました」といった感謝の言葉を添えるのがマナーです。一人ひとりに心を込めてお渡しすることで、感謝の気持ちがより伝わります。郵送で送るという形式は一般的ではありません。必ず当日手渡しするのが基本です。会葬御礼の品物は、お茶やコーヒー、お菓子などの消耗品や、タオル、ハンカチなどが定番です。持ち運びやすく、後に残らないものが好まれます。金額の目安としては、一般的に千円程度が相場とされています。ただし、香典の金額に関わらず一律の品物を用意することがほとんどです。これは、香典返しとは異なり、弔問いただいたこと自体へのお礼だからです。高価すぎる品物や、受け取った方が扱いに困るようなものは避けるようにしましょう。近年、葬儀の形式が多様化しているため、会葬御礼に関する考え方も変化しています。