葬儀や告別式にご会葬くださった方々へお渡しする会葬御礼は、故人への弔意と遺族への慰めに尽力いただいたことへの感謝を示す大切な機会です。どのような品物を選ぶかによって、遺族の心遣いが伝わります。会葬御礼の品物選びには、いくつかの基本的な考え方やマナーが存在します。まず最も重視すべきは、感謝の気持ちを伝えるという目的です。高価である必要はなく、むしろ参列者が負担なく持ち帰ることができ、後に残らない消耗品が好まれます。これは、弔事が「消え物」と共に無事に終わることを願う日本の習慣に基づいています。会葬御礼の品物の定番としては、日本茶やコーヒー、お菓子といった食品類、あるいはタオルやハンカチなどの日用品が挙げられます。これらはどのご家庭でも日常的に使用され、置き場所に困ることも少ないため、多くの参列者に喜ばれる傾向にあります。特に食品の場合は、個包装されているものが配りやすく衛生的です。また、賞味期限が長いものを選ぶことも重要です。タオル類も実用的で、失礼に当たらない品として広く選ばれています。反対に、会葬御礼として避けるべき品物もあります。生鮮食品など傷みやすいもの、あまりに高価すぎるもの、そして慶事に用いられることの多い品物や、いわゆる「四つ足生臭もの」と呼ばれる肉や魚介類は避けるのが一般的です。また、商品券やギフト券なども、金額がはっきりと分かってしまうため、会葬御礼にはあまり適さないとされています。あくまで弔問という行為自体へのお礼であるため、香典返しとは異なり、金額に見合った品物を選ぶというよりは、一律の感謝を示す品物を選ぶという考え方が根底にあります。会葬御礼の金額の目安は、地域や慣習によって多少異なりますが、一般的には千円程度が相場とされています。これは、香典の金額に関わらず、参列者全員に対して同じ品物をお渡しするためです。参列者一人ひとりへの感謝の気持ちは同じであるという考えに基づいています。近年は葬儀の形式も多様化しており、参列者の範囲も変化しているため、それに合わせて会葬御礼の品物や有無を検討することもあります。迷った場合は、地域の習慣に詳しい葬儀社に相談してみるのが最も確実な方法です。会葬御礼は、感謝の心を形にする機会として、故人への最後の配慮を示すものでもあります。
会葬御礼にふさわしい品物の選び方とマナー