葬儀費用の領収書をもらう際、意外と見落としがちで、しかし非常に重要なのが「宛名」です。宛名を誰の名前で書いてもらうかによって、後の相続税の申告に影響が出る可能性があるため、正しい知識を身につけておきましょう。領収書の宛名の基本原則は、「実際にその費用を支払った人の氏名を記載する」ということです。相続税の申告において、葬儀費用を控除できるのは、その費用を負担した相続人や包括受遺者(遺言によって財産を受け取る人)に限られます。そして、その人が相続によって取得した財産の価額からしか控除することはできません。例えば、喪主である長男がすべての葬儀費用を一人で支払った場合、領収書の宛名は当然、長男のフルネームとなります。そして、長男が相続する財産から、支払った葬儀費用の全額を控除することができます。問題となるのは、兄弟姉妹などで費用を分担して支払った場合です。例えば、総額300万円の葬儀費用を、長男が200万円、長女が100万円を分担して支払ったとします。この場合、理想的なのは、葬儀社に事情を話し、長男宛に200万円、長女宛に100万円と、それぞれが支払った金額に応じた領収書を別々に発行してもらうことです。これにより、長男と長女は、それぞれが負担した費用を、自身の相続財産から正しく控除することができます。もし、葬儀社から領収書は一枚しか発行できないと言われ、代表者である長男の名前で300万円の領収書を受け取った場合は注意が必要です。このままでは、長男しか控除を受けられないことになります。このような場合は、誰がいくら負担したのかを明確にするための覚え書きや、兄弟間での金銭のやり取りが分かる振込記録などを、領収書と一緒に保管しておくことが重要となります。後の税務調査などで説明を求められた際に、支払いの実態を証明できるようにしておくことが大切です。
葬儀領収書の宛名は誰にするべきか