但し書きが重要、葬儀領収書の依頼方法
葬儀費用の領収書を葬儀社に依頼する際、宛名や金額に気を配るのはもちろんですが、同じくらい重要なのが「但し書き」の記載内容です。但し書きは、その支払いが何に対するものなのかを具体的に示す部分であり、この内容が明確であるかどうかが、相続税の控除をスムーズに認めてもらうための鍵となります。税務署が確認したいのは、その支払いが確かに「葬儀に関連する費用」であるという事実です。そのため、但し書きが「お品代として」といった曖昧な表現になっていると、その内容を証明することができず、葬儀費用として認められない可能性があります。領収書を依頼する際には、必ず「〇〇〇〇(故人名)様の葬儀一式費用として」といった、目的が明確に分かる文言を記載してもらうように、はっきりとお願いしましょう。より丁寧なのは、葬儀社に「請求明細書」の発行を依頼することです。明細書には、祭壇費用、棺代、霊柩車代、式場使用料、ドライアイス代、飲食費、返礼品費といった、費用の内訳が詳細に記載されています。この明細書があれば、どの費用が相続税の控除対象となり、どの費用が対象外(例えば香典返しなど)なのかを、後から正確に仕分けることができます。税務署に対する最も確実な証明書類となるため、領収書とセットで必ず受け取り、大切に保管するようにしましょう。葬儀社の担当者は、こうした領収書の書き方や税務上の重要性について熟知しているプロフェッショナルです。「相続税の申告で使いますので、但し書きは『葬儀費用』でお願いします」と伝えれば、ほとんどの場合、快く応じてくれます。遠慮することなく、必要な書類をきちんと依頼することが、遺された家族の負担を減らすための、喪主としての大切な務めの一つです。