葬儀にかかる費用の中には、慣習として領収書が発行されないものがいくつかあります。その代表例が、僧侶へお渡しする「お布施」や「読経料」「戒名料」です。これらは宗教行為に対する感謝の気持ちであり、サービスの対価ではないという考え方から、領収書を請求しにくい、あるいは断られるケースがほとんどです。しかし、領収書がないからといって、相続税の控除を諦める必要はありません。税務上、領収書がない場合でも、支払いの事実を客観的に証明できる記録があれば、葬儀費用として認められます。そのために、遺族がすべきことは「詳細なメモを残すこと」です。具体的には、以下の項目をノートや手帳、あるいはパソコンのメモ機能などに記録しておきましょう。支払年月日: お金を渡した日付を正確に記録します。支払先の名称と氏名: 渡したお寺の正式名称や、僧侶の氏名を記録します。支払金額: 渡した金額を正確に記録します。支払いの目的: 「お布施として」「戒名料として」など、何の費用として支払ったのかを明記します。支払者の氏名: 誰が支払ったのかを記録します。これらの情報を記録したメモが、領収書の代わりとなるのです。この方法は、お布施以外にも、霊柩車や火葬場の担当者、お手伝いいただいた方へ渡す「心付け(チップ)」など、領収書が出ない費用全般に適用できます。大切なのは、後から誰が見ても支払いの事実が分かるように、できるだけ具体的に記録を残しておくことです。この一手間が、後の相続税申告をスムーズに進めるための鍵となります。