保険契約において避けて通れないのが告知義務ですが、85歳の方が葬儀保険に申し込む際、一体どのような基準で審査が行われているのでしょうか。その実態を知ることで、加入への心理的ハードルはぐっと低くなります。まず理解しておくべきは、85歳という高齢者をターゲットにした葬儀保険(少額短期保険)は、そもそも「健康に不安があること」を前提に設計されているという点です。そのため、若い世代向けの保険のような厳密な医療情報の提供は求められません。審査の基本は、たった数問の「はい」か「いいえ」で答える質問票です。典型的な質問内容としては、現在入院中ではないか、3ヶ月以内に手術の予定はないか、過去2年以内に大きな病気で入院したことはないか、といった程度です。85歳であれば白内障の手術を経験していたり、定期的に血圧の薬を飲んでいたりすることは「健康」の範囲内として扱われることが多く、これらは告知しても加入を拒否される理由にはなりにくいのが実態です。しかし、ここで絶対に守らなければならないのが、誠実な告知です。高齢者の中には、「これを書いたら入れなくなるのでは」と不安になり、ついつい持病を隠してしまう方もいますが、これは最も危険な行為です。保険会社は死亡時に病院へ調査を行う権利を持っており、もし告知と異なる事実が判明すれば、保険金は1円も支払われません。85歳で加入し、毎月高い保険料を支払ってきた努力がすべて水の泡になってしまうのです。実のところ、審査で最も重視されているのは「今、生きているかどうか」と「意思の疎通ができるかどうか」という点かもしれません。認知症の進行度合いによっては、契約自体が無効とされることもあるため、判断能力が確かなうちに加入しておくことが推奨されます。また、もし審査に落ちてしまったとしても、最近では別の会社がより緩和された基準で商品を出していることも多いため、1社の結果だけで絶望する必要はありません。85歳からの審査は、あなたを排除するための門番ではなく、あなたと保険会社が適正な関係を結ぶための確認作業に過ぎません。ありのままの自分を提示し、それを受け入れてくれる場所を見つけることが、納得のいく葬儀準備の王道なのです。
葬儀保険の告知義務と85歳からの審査の実態