近年、葬儀の形式の一つとして「無宗派葬儀」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、特定の宗教や宗派の儀礼にとらわれることなく、故人の遺志や遺族の想いを尊重して自由な形式で行う葬儀のことを指します。日本では仏式の葬儀が多数を占めますが、宗教観の多様化や、より故人らしいお別れをしたいというニーズの高まりから、この無宗派葬儀が新たな選択肢として注目されています。無宗派葬儀の最大の特徴は、その「自由度の高さ」にあります。仏式の葬儀であれば、僧侶による読経や焼香、戒名の授与といった、宗派ごとに定められた一連の儀式が中心となります。しかし、無宗派葬儀には決まった形式が存在しません。そのため、宗教的な儀式の代わりに、故人の好きだった音楽を流す「音楽葬」の形をとったり、思い出の写真をスライドショーで上映したり、参列者一人ひとりが故人との思い出を語る時間 を設けたりと、故人の人柄や生き様を表現するための様々な演出をプログラムに組み込むことが可能です。一般的な無宗派葬儀の流れとしては、まず司会者による開式の辞があり、故人に対して全員で黙祷を捧げます。その後、故人が愛した音楽の生演奏やCDの再生(献奏)、故人の経歴や人柄の紹介、親しい友人や家族による「お別れの言葉(弔辞)」などが続きます。そして、仏式の焼香の代わりとして、参列者が一人ひとり祭壇に花を捧げる「献花」が行われるのが通例です。最後に、喪主からの挨拶があり、閉式の辞をもって式は終了となります。この流れはあくまで一例であり、何をどの順番で行うかは、遺族が葬儀社と相談しながら自由に決めることができます。宗教的な儀式がないからといって、決して簡素なわけではありません。むしろ、故人一人ひとりの人生に合わせた、世界に一つだけのお別れの形を創り上げること。それが無宗派葬儀の本質と言えるでしょう。
無宗派葬儀の基本と流れを知る