葬儀が終わり、相続税の申告も無事に完了したとしても、葬儀費用の領収書や関連書類をすぐに処分してしまうのは早計です。これらの書類には、法律で定められた保管期間があり、適切に整理・保管しておくことが、将来の不要なトラブルを避けるために重要となります。まず、葬儀費用の領収書やメモなどの書類の保管期間ですが、これは相続税の申告期限と、その後の税務調査の可能性を考慮して決める必要があります。相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。そして、税務署が申告内容について調査を行うことができる期間(除斥期間)は、原則として申告期限から5年間と定められています。つまり、申告内容に誤りがないことを証明するためにも、葬儀費用の領収書は、相続税の申告期限から最低でも5年間は保管しておく義務があるのです。また、もし申告内容に意図的な不正(過少申告や無申告)があったと疑われた場合、この期間は7年間に延長されることもあります。そのため、より安全を期すのであれば、「相続税の申告期限から7年間」は保管しておくと万全と言えるでしょう。これらの大切な書類を、長期間にわたって紛失しないように整理・保管するためのコツも押さえておきましょう。最も簡単な方法は、「葬儀・相続関係書類」として、専用のクリアファイルや封筒、ファイルボックスを用意し、すべてをそこにまとめて保管することです。葬儀費用の領収書や明細書、お布施のメモだけでなく、遺産分割協議書や相続税申告書の控え、戸籍謄本など、相続に関するあらゆる書類を一元管理することで、後から探し出す手間が省けます。デジタル化も有効な手段です。領収書やメモをスマートフォンで撮影したり、スキャナーで読み取ったりして、データとしてパソコンやクラウド上に保存しておけば、原本を紛失した場合のバックアップとなります。ただし、税務調査では原本の提示を求められることが原則ですので、デジタルデータはあくまで控えとして考え、原本も必ず保管するようにしてください。