葬儀が終わった後、すぐに遺骨をお墓に納めるのではなく、自分の手元に置いて供養し続ける「手元供養」というスタイルが定着してきました。これは、愛する人との別れが急すぎて心の整理がつかない、あるいは経済的な理由でお墓がすぐに用意できない、さらには「いつも身近に感じていたい」という切実な想いから選ばれる選択肢です。手元供養には、遺骨の全てを自宅に置くケースと、一部だけを残して他は納骨する「分骨」のケースがあります。最近では、リビングに置いても違和感のない、洗練されたデザインの小さな骨壷や、遺骨を加工して作るメモリアルダイヤモンド、さらには遺骨の一部をペンダントに収めて身につけるソウルジュエリーなど、多様なアイテムが登場しています。こうした手元供養は、遺族にとって大きな精神的支えとなります。毎朝コーヒーを供えながら語りかけたり、外出時に一緒に連れて行ったりすることで、喪失による虚無感を埋め、少しずつ前向きに生きていく力を得ることができます。しかし、手元供養を行う際に必ず考えておかなければならないのが、将来的な「最終的な納骨」の行方です。自分(供養している人)が亡くなった後、その遺骨を誰が管理するのか、最終的にどこに収めるのかを決めておかなければ、遺骨が迷子になってしまうリスクがあります。そのため、手元供養を始める段階で、将来的に合祀墓へ納める手続きを済ませておいたり、エンディングノートに自分の死後の遺骨の扱いを明記しておいたりすることが、残された家族への思いやりとなります。また、遺骨を自宅に置いておくこと自体は法的に全く問題ありませんが、湿気による遺骨の変質を防ぐための適切な保管環境(乾燥剤の使用や密閉性の高い容器の選択)を整えることも、大切な「やること」の一つです。手元供養は、形式にとらわれない新しい供養の形ですが、その根底にあるのは故人への深い愛情です。いつか心が癒え、お墓へ納める決心がつくその日まで、あるいは自分が旅立つその日まで、故人と共に歩む時間は、何物にも代えがたい貴重なグリーフケアのプロセスとなるのです。
遺骨を自宅で供養する手元供養の広がりと将来の納骨