日本における納骨は仏教形式が圧倒的に多いですが、神道(しんとう)やキリスト教においても、それぞれ独自の死生観に基づいた美しい納骨の作法が存在します。まず神道においては、納骨は「埋葬祭(まいそうさい)」あるいは「墓所祭」と呼ばれます。神道では、死は「穢れ」ではなく「神となって子孫を見守るための帰還」と捉えます。納骨のタイミングに明確な決まりはありませんが、五十日祭(仏教の四十九日に相当)の忌明けに合わせて行われるのが一般的です。式では、神職が祝詞(のりと)を奏上し、遺族は玉串を奉奠(ほうてん)して、故人の霊が家の守護神となるよう祈ります。仏教との大きな違いは、お供え物です。神道では「神饌(しんせん)」として、お米、お酒、お塩、お水のほかに、魚や野菜、果物などの海の幸・山の幸を供えます。また、墓石の形も「神標(おくつき)」と呼ばれる、頂点がトキン型(ピラミッド型)に尖った独特の形が使われることが多く、正面には「〇〇家先祖代々神霊」などの文字が刻まれます。一方、キリスト教の納骨式は、カトリックとプロテスタントで細かな違いはありますが、多くの場合、召天から1ヶ月後の追悼ミサや記念式のタイミングで行われます。教会の墓地(納骨堂)へ納める際は、神父や牧師の立ち会いのもと、聖書の朗読、賛美歌の斉唱、祈祷が行われます。キリスト教では死は「天国への凱旋」であり、神のもとでの再会を信じる希望の儀式です。仏教の焼香にあたる行為として、白い花を供える「献花」が行われます。墓石のデザインも非常に自由度が高く、十字架を刻んだり、聖書の一節を刻んだりするだけでなく、平坦な芝生墓地にプレートを設置する欧米スタイルのものも多く見られます。いずれの宗教においても共通しているのは、納骨を一つの通過点として、遺族が故人の安らぎを確信し、自らも新しい一歩を踏み出すための励ましとする点です。自分の家の宗教や、故人の生前の信仰に合わせた適切な作法を知ることは、故人のアイデンティティを尊重し、心のこもった見送りを完遂するために欠かせない教養です。形式は違えど、大地に還り、静かな眠りにつく故人を慈しむ心は、すべての宗教を超えて共通する人間の普遍的な美徳なのです。