私の母は今年85歳になりました。父が他界して10年、1人で元気に暮らしてきましたが、最近「私もそろそろ準備をしておかないとね」と口にするようになりました。息子として、母の葬儀費用を誰が負担するかという問題は、心の中に常にありましたが、なかなか切り出しにくい話題でもありました。しかし、母の方から「保険に入りたい」と言ってきたのを機に、私は85歳でも入れる葬儀保険を徹底的にリサーチしました。調べてみて驚いたのは、85歳という年齢でも新規で申し込めるプランが意外と多いことでした。もちろん、20代や30代の保険料とは比較になりませんが、月々8000円程度の負担で100万円の葬儀代が確保できるという数字を見て、これなら母の年金の範囲内で十分に支払えると安心しました。私が調べた中で特に重視したのは、保険金の支払われるスピードです。葬儀社の見積もりを見ていると、多くのケースで式終了後1週間以内の現金払いが求められます。私の貯金を取り崩して立て替えることも可能ですが、やはり母が自分自身で用意したお金で全てを完結させられるという安心感は、母のプライドを尊重することにも繋がると感じました。また、受取人を私に設定することで、もしもの時に私がすぐに動ける体制を整えました。母と一緒に告知書を作成した時間は、母の過去の病歴や現在の体調を改めて深く知る、良い機会にもなりました。「あの時の手術は大変だったね」「今は膝が痛いけれど、他は健康だから大丈夫だね」と、保険という事務的な手続きを通して、親子のコミュニケーションが深まったのです。85歳の保険選びは、単なる節約術ではなく、親がどのような最期を迎え、子がそれをどう支えるかという、家族の合意形成のプロセスなのだと実感しました。最終的に母は、告知が非常に簡単なプランを選び、数日後には無事に証券が届きました。その証券を仏壇の引き出しに大切にしまう母の姿を見て、私も肩の荷が下りたような気がしました。親が85歳になった今、お金の話をタブー視するのではなく、未来のために一緒に最善の策を考える。それが、残された時間をより豊かに過ごすための、息子としての最大の親孝行だったのではないかと思っています。