葬儀に関わる品物のやり取り、つまり供養品を送る際や、返礼品を受け取る際にも、専用の敬語表現が存在します。まず、自分が供花や供物を送る際、遺族に対して「些少ではございますが、御霊前にお供えください」と言葉を添えます。「些少(さしょう)」という言葉は、自分の贈り物を謙遜して表現する非常に便利な敬語なのです。また、相手から「お供えをありがとうございました」と御礼を言われた際には、「いえ、お返しなどはどうぞお気遣いなく」と、相手の負担を軽減させる「お気遣い」という言葉を使い、配慮を示します。逆に、自分が葬儀に参列して返礼品(会葬御礼や香典返し)を頂戴する際は、受付で「おそれいります」と言って受け取ります。このとき、返礼品に対して「素晴らしい品をありがとうございます」と過度に褒めるのは避けます。葬儀の品物はあくまで「供養のしるし」であり、その価値を論じるのは不適切だからです。後日、香典返しが自宅に届いた際には、原則として「お礼の連絡は不要」とされていますが、無事に届いたことだけを伝えたい場合は、電話やメールで「ご丁寧にありがとうございました。恐縮に存じます」と短く伝えます。このとき「ありがとう」の後に「ございます」を付けず、言葉を濁すことで、喜びを控える姿勢を示すこともあります。また、法要の手土産を持参する際は、「御仏前にお供えください」と言って渡し、遺族から「頂戴します」と言われたら「お口に合えば幸いです」と、食べ物であれば謙譲の表現を付け加えます。こうした品物を介した敬語のやり取りは、目に見える物を通して、目に見えない「敬意」と「配慮」を交換する行為です。贈り物の内容以上に、それをどのような言葉と共に差し出し、どのような言葉と共に受け取るかが、その人の教養と真心を決定づけます。物への執着を捨て、故人を思う心を中心に据えた言葉選びをすることが、弔事における贈答マナーの本質なのです。
供養品や返礼品を贈る、受け取る際の外さない敬語表現