85歳という年齢で、持病が重かったり、過去に大きな病気を経験していたりするために、どの保険の審査も通らないというケースがあります。そのような方にとっての最後の砦となるのが「無選択型保険」です。無選択型保険の最大の特徴は、文字通り「選択(健康状態の告知)」が一切不要である点にあります。85歳であれば、現在通院中であっても、入院歴があっても、極端な話、がん治療中であっても加入することができます。この保険のメリットは、何といっても「誰でも入れる」という圧倒的な門戸の広さです。自分はもう保険には入れないと諦めている方にとって、これ以上の安心感はありません。しかし、無選択型保険には特有の「加入戦略」が必要です。なぜなら、無選択型には通常、厳しい支払制限が設けられているからです。一般的なルールとして、加入から最初の2年間(または1年間)は、病気で亡くなった場合には保険金が支払われず、それまでに支払った保険料相当額のみが返還される、という免責期間があります。85歳で加入する場合、この「魔の2年間」をいかに乗り切るかが勝負となります。つまり、無選択型保険は「今すぐ死ぬこと」に備えるためのものではなく、「2年以上先を見据えた備え」なのです。また、無選択型は告知がない分、保険料が他のプランよりもかなり高額に設定されています。85歳からの加入では、数年間の支払い合計額が保障額に近づくスピードも速いため、本当に保険という形をとるべきか、それとも現金をタンス預金として持っておくべきか、その分岐点を見極める必要があります。それでも無選択型が選ばれる理由は、やはり「口座凍結対策」としての機能です。たとえ支払った保険料と受け取る保険金が同額だったとしても、保険という形にしておけば、死後すぐに現金化できるという価値があるからです。85歳からの無選択型加入は、いわば「現金の場所を移動させて、緊急時に使いやすくしておく」という戦略的な引っ越しのようなものです。自分にはもう選択肢がないと思わずに、こうした無選択型の特性を理解した上で、最期の1ピースとして活用することを検討してみてください。そこには、85歳からでも自らの人生を完結させようとする、強い意志が反映されているはずです。